基礎科学分野から発展領域に至る分野横断的教育研究と、先進的かつ独創性のある教育研究の推進をはかる。

ご挨拶

学長挨拶

山形大学では、平成22年3月、上山市にある山形大学総合研究所に、北海道・東北地区の大学では初となる「高感度加速器質量分析装置(AMS)」を導入し、翌23年2月に、AMSを用いた基礎科学分野から発展領域に至る分野横断的な教育研究活動の活性化と、先進的かつ独創性のある教育研究の推進に供することを目的に、全学的な機能を持った「山形大学高感度加速器質量分析センター」を設置いたしました。

AMSは、考古学、文化人類学、医学、農学、工学、環境科学、宇宙物理学などの幅広い研究分野で大きな貢献が期待されております。同センターでは、AMSの利用を学内だけでなく学外にも開放して広く社会に貢献していきたいと考えておりますので、学内外の関係者の皆様には、特段のご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

学長

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AMS概要

AMS(加速器質量分析装置)

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    【Si半導体検出器】

    Si半導体検出器に14C+が入射すると電離作用により電子と正孔の対を作り出します。

    電子と正孔は両端にかけられた電圧によりそれぞれ陰極、陽極に分けられて電気信号が発生します。

    この電気信号を測定し、14C+のエネルギーと個数を測定します。

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    【逐次入射システム】

    逐次入射システムでは、12C-13C-14C-の質量に対応した加速電圧を印加し、各イオンが同じ軌道を通って加速器に入射するように磁場が設定されています。

    また、12C-13C-14C-の存在比を考慮し、それぞれ0.3msec、18msec、90msecの時間幅で、交互に加速器に入射させます

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    【加速器】

    加速管中央部では、ペレットチェーンにより電荷が供給され、最大500kVまで電圧が印加されます。

    C-は、加速管に入るとこの加速管中央部に向かって加速され、中央の荷電変換部に入ります。そこでアルゴンガスと衝突して荷電変換し、炭素のプラスイオン(C+)に変換されます。荷電変換部を通過すると、 C+は加速管出口に向かって、さらに加速されます。

    この荷電変換部では、14C測定の妨害となる分子イオン(13CH、12CH2など)もアルゴンとの衝突により分解されます。

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    【分析電磁石及びファラデーカップ検出器】

    加速管を出た炭素のプラスイオン(12,13,14C+)は、質量が違うため、分析電磁石の磁場の影響が異なり、軌道が変わります。

    3種の炭素同位体のうち、多く存在する12C、13Cは、質量が14Cよりも軽いため、内側の軌道を通り、それぞれのファラデーカップに入射し、電流値として測定されます。また、量の少ない14Cは次段の半導体検出器にエネルギー弁別されたのちに入射し、1発毎に測定されます。

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    【イオン源】

    サンプルにセシウムイオン(Cs+)を衝突させ、炭素のマイナスイオ(12,13,14C-)を生成させます。

    発生したC-はエクストラクターにより引き出され、逐次入射システムへ運ばれます。

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    【イオン源】

    サンプルにセシウムイオン(Cs+)を衝突させ、炭素のマイナスイオ(12,13,14C-)を生成させます。

    発生したC-はエクストラクターにより引き出され、逐次入射システムへ運ばれます。

山形大学加速器質量分析装置YU-AMS

加速器質量分析法(Accelerator Mass Spectrometry、AMS)とは、加速器と質量分析装置を組み合わせた分析装置です。

極微量の測定対象サンプルをイオン源でイオン化された後、50万エレクトロンボトル程度のエネルギーまで電場によって加速します。加速されたイオンは、加速管中央部のストリッパーカナル中のアルゴンガスとの衝突により荷電変化された後に再び加速され、電磁石と静電アナライザーで弁別され、半導体検出器でそのエネルギーと個数を計数します。

この方法によって、10-15~10-11といった極めて低い存在比を持つ同位体元素を高感度かつ短時間で分析することができます。

例えば、測定サンプルに含まれる炭素の同位体元素、12C(存在比99%)、13C(存在比1%)、14C(存在比1兆分の1以下)に対して、従来の放射線計測法の約1,000分の1以下のサンプル量で、短時間に14C⁄12C比を測定することができます。

加速器質量分析(AMS)では測定イオンにエネルギーを与える事ができ、通常の質量分析では測定できない核種、例えば放射性炭素(14C)の測定を可能にします。従来の14C-AMSでは300万ボルトより大きな加速電圧を使用していましたが、技術開発によって低い加速電圧でも高精度な14C-AMSが可能になりました。また低電圧化に伴い装置も小型化しました。YU-AMSでは加速電圧50万ボルトのコンパクトAMSが総合研究所1階に設置されています。最大で40個のグラファイト試料をサンプルホルダーに装着し測定する事ができます。

加速器質量分析法を用いた研究分野

加速器質量分析(AMS)は、微小試料から極微量元素を高精度かつ短時間に測定することができる高感度質量分析装置です。

特に半減期が5730年の14Cに対するAMS測定は、動植物に由来する年代を決定する年代測定法として幅広く利用され、人類の文化と歴史、そして宇宙科学や環境化学分野の重要な測定ツールの一翼を担っています。

また、医学・薬学の分野に目を向けると、微量のトレーサー元素14Cで標識した候補薬物を生体内に投与し、体内の薬物動態を高精度に分析する、いわゆる「マイクロドーズ臨床試験」が医薬品開発の有効手段として世界的に注目を集めています。

この様に14Cをプローブとした極微量分析法が、過去から未来へ伝わる新しい研究手法の架け橋として、新たな展開を迎えようとしています。

加速器質量分析法を用いた研究分野

YU-AMS 試料作製装置

YU-AMS 試料作製装置

放射性炭素の加速器質量分析(14C-AMS)では、測定試料をグラファイトに調整する必要があり、その化学処理を総合研究所4階で行っています。ここで活躍する装置が元素分析計、質量分析計そしてガラス真空ラインです。

3つの装置は配管で1つに接続され、全体で1つのグラファイト作成システムとなります。元素分析計で試料をガス化し、発生したガスの中から二酸化炭素を抽出します。この二酸化炭素をガラス真空ラインに移動させ、ここでグラファイトを作ります。元素分析計で発生したした試料ガスの一部を質量分析計に送り、ガスの中に含まれる窒素、炭素、硫黄の安定同位体測定を行います。本システムはプログラムにより制御され、連続で20個の試料作成を無人で行う事を可能にしています。作製された約1mgのグラファイトをアルミ製測定器具に詰め、試料作製が終了します。

試料作製の流れ

試料作製の流れ

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施設のご利用

測定費(ご利用負担金)

試料の区分 本学職員等 他の機関に所属する者又は個人
プレス済試料 5,000円 10,000円
グラファイト化済試料 7,500円 15,000円
前処理済試料 12,500円 25,000円
無処理試料 25,000円 50,000円

※特殊な試料は別途追加料金をいただく場合があります。

申込手順

申込から分析結果までの流れ

※前処理から報告書まで、10〜60日間必要とします。
お急ぎの場合は、センタースタッフまでご相談下さい。

測定依頼に関するお問い合わせ

山形大学高感度加速器質量分析センターにおいて、試料の測定申請がある方は、下記のお問い合わせボタンからお問い合わせ下さい。

測定依頼のお問い合わせはこちら

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AMS実績・実例

AMS実績事例一覧

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    朝日新聞 2016年2月7日より

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    大崎タイムス 2016年2月2日より

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    山形新聞 2015年2月25日より

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    山形新聞 2014年11月6日より

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    読売新聞 2014年3月5日より

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    山形新聞 2014年3月5日より

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    山形新聞 2013年9月19日より

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    山形新聞 2013年8月2日より

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    朝日新聞 2013年2月8日より

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    毎日新聞 2012年5月23日より

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    朝日新聞 2012年5月23日より

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    山形新聞 2012年5月23日より

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    山形新聞 2011年10月1日より

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    読売新聞 2010年12月16日より

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    毎日新聞 2010年12月15日より

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    朝日新聞 2010年12月15日より

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    産経新聞 2010年12月15日より

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    山形新聞 2010年12月15日より

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    河北新報 2010年12月15日より

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    新聞 2010年10月6日より

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    山形新聞より

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    山形新聞 2010年1月7日より

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    河北新聞 2010年1月28日より

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    山形新聞 2009年12月30日より

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    山形新聞 2009年4月23日より

加速器およびその周辺機器事例一覧

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    読売新聞 2016年1月13日より

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    山形新聞 2016年1月5日より

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    山形新聞 2012年9月28日より

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    山形新聞 2009年10月5日より

機関名一覧

  • 山形大学附属博物館
  • 古民家(金ケ崎町旧田山家)
  • 弘前大学
  • 国立歴史民俗博物館
  • 山形市教育委員会
  • 酒田市立博物館
  • 東北芸術工科大学
  • 山形市嶋地区遺跡
  • 東北大学
  • 山形天保のそば保存会
  • 長井市教育委員会
  • 酒田市城輪柵、堂の前遺跡
  • 山形大学人文学部、理学部
  • 尾花沢市教育委員会
  • 東京大学宇宙線研究所
  • 山形県埋蔵文化財センター
  • 上山市久昌寺
  • 東北学院大学
  • 産業技術総合研究所
  • 天童市教育委員会

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スタッフ紹介

スタッフ紹介

門叶 冬樹 センター長
森谷 透 主任
武山 美麗 技術専門職員
小野 利弘 事務担当
設楽 理恵 事務担当
佐藤 里美 事務担当
猪股 雄一郎 大学院生
塩原 滉平 大学院生
石澤 倫 大学院生
大橋 勇 大学院生
角田 紫音 大学院生
伊藤 龍太朗 大学院生
小関 悠里 学生
鈴木 健斗 学生
鈴木 颯一郎 学生
松田 匠平 学生
横山 淳也 学生

アクセス

アクセス

山形大学総合研究所

〒999-3101 山形県上山市金瓶字湯尻19-5
E-mail:ams[@]sci.kj.yamagata-u.ac.jp

※当HPでは、迷惑メール対策として@の前後に[]をつけて表示しております。
メールによる問い合わせを行う場合にはお手数ですが@前後の[]を削除した後送信して下さいますようお願い致します。

  • お電話でのお問い合わせ 023-695-6226
  • FAXでのお問い合わせ 023-695-6227

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